日本床の間文化普及会とは

@水野克比古

床の間は、日本の建築文化、生活文化と不可分な関係にあるにも関わらず、和室の急速な減少に伴い、その重要性が省みられなくなり、放置すれば消滅することも懸念されています。

床の間は歴史的に日本の建築文化、生活文化、ひいては精神文化を語る上で欠かせない存在であり、国際的にも尊重すべき文化財と考えられます。

当学会は、日本人の生活の豊かな営みに大きな貢献をしてきた床の間の存在を再評価すると共に、その保存、普及、発展に寄与し、ひいては日本の精神文化の継承にも役立てたいという強い思いから出発しております。

特に床の間が作り出す空間で展開してきた、もてなしの装飾空間(掛け軸などの美術品の展示、花を生ける、盆栽を飾るなど装飾空間を作り出す)だけでなく、茶の湯の発展、権威や神聖な空間の提供、建築様式の発展にも床の間は大きく寄与してきました。

近年、その文化的、精神的な豊かな空間を作り出す床の間が減少している中、和室の減少とも比例して、日本人の生活文化、精神文化の衰退にも繋がる事態と懸念しております。

そこで私達は、床の間を通じた権威主義の復活ではなく、床の間の楽しみ方や、それに伴う文化的豊かさに焦点を当て、日本文化の再生、再考を促し、さらには未来に向かっての床の間のあり方を模索し、国際的にも床の間を普及することをめざしております。